人はそれを恋と呼ぶ


「それじゃ、俺約束があるんで、行きます。本当に勝手な事しててすいませんでした」


ゆーちゃんは最後にポチをたくさん撫でて、帰って行った。


「…由紀?いるんだろ?」


修兄ちゃんがあたしに声をかけた。


「いい奴だなぁ。びっくりしたよ。ポチもなつくはずだよな。あんなに感じのいい中学生ってなかなかいないぞ」


修兄ちゃんが笑いながら一人で話してるけど…あたしは何も言えなくて、ゆっくりと立ち上がり窓から修兄ちゃんを見た。


「…馬鹿。泣くなって」


窓の下にいる修兄ちゃんは、あたしの顔を見て呆れたように言った。


次から次へと溢れ出す涙は、地面にぽたぽたと落ちて行った。

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