人はそれを恋と呼ぶ
もちろんあたしは彼の女なんかになった覚えもないのだけど。
思いっきりテンパりながら瞬きも出来ずに立ち尽くしていた。
「き、木下先輩…!?なんで…?」
「あのな…俺は今ものすごく機嫌が悪い…」
いつもとちょっと違う声。きっと彼らを追い払う為に言ってくれてるんだと頭では判っていても、彼に似つかわしくない声だった。
「だから…てめえら…早く散れ」
男子達は、ゆーちゃんの後輩らしく、あっさりと走って去って行った。
「もう、手ぇ出すんじゃねぇぞー!」
ゆーちゃんの後ろから友人らしい男子の声が聞こえた。
…今、ゆーちゃんがいる現実は、なかなか受け止められずに立ち尽くす。