人はそれを恋と呼ぶ


「実際泣かしてんのはお前じゃねぇの?優太」


悠斗さんの言葉に、ゆーちゃんは黙ってしまった。


「俺、これからバイトなんだ。悪いな、説教ならまた今度にしてくれよ。じゃな」


そう言って、足早に立ち去ってしまった。


繋がれたままの手がちょっとだけ痛くて、あたしはゆーちゃんの背中に話しかけた。


「ゆーちゃん、悠斗さんは全然悪くないの。あたしが勝手に泣いただけで…あの…あたし、ゆーちゃんに話があって、家に行こうと思って…」


黙ったままの彼の背中を見つめた。


「…俺もある。話」


そう呟いた彼は後ろを振り返り、あたしを抱き寄せた。


彼のその一言だけで、あたしはまた涙が出るの。






「…会いたかった」




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