人はそれを恋と呼ぶ
一人で歩いて来た道を、今度は二人で手を繋いで引き返す。
「そういえば…ゆーちゃん、どこに行ってたの?何か用事?」
「あぁ。そんなの、由紀を迎えに行っただけだし」
「え?あたしを迎えに?どうして?」
「貴さんから電話がきたんだよ。由紀が夜道ひとりでお前に会いに出てったから、今すぐ迎えに行けって」
あたしは呆れかえって絶句する。
貴兄ちゃん…いい加減にしてもらいたい…!これだからシスコンって…!!
あたしの気持ちを見透かしたように笑ったゆーちゃん。
「…俺も、いい加減ねーちゃんに干渉すんの辞めなきゃなぁ。ウザいって思われる前にな」
きっとゆーちゃんのシスコンも変わらないだろうけど。
ありのままのゆーちゃんがあたしは好きだから。
また一つ、好きの気持ちが増えて、ゆーちゃんの手をぎゅっと握りしめながら。
満天の星空を見上げて笑った。
【End】