人はそれを恋と呼ぶ


そして。


「お前ら、そういう関係だったのか!?」とひとしきり大騒ぎした松本は、悔しそうに裏庭を後にした。


多分、教室に帰ったらその話題で持ち切りになるだろう。


横目で植田を見ると、ものすごい膨れっ面をしていて、


俺は、改めてさっきの台詞の間違いを痛感した。


「植田…?あの…怒ってる?」

「……」

「はは。俺ちょっと間違ったみたい」

「…信じられない…」

「ごめん。今から訂正してくるから!『ドッキリでした』的な感じで!」


さすがの俺もまずいと感じて、松本を追おうと足を踏み出したんだけど。

右手を不意に掴まれて、驚いて植田を見る。


「…いいよ」


「は?でも」


「もういいよ。
今更嘘でしたなんて言ったら、木下の立場がないでしょ?」


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