人はそれを恋と呼ぶ


「いや、ねーちゃんはすぐ無理するから」


俺は保健室に着くと、ねーちゃんをベッドに寝かせた。


俺の出血を見て驚く保健の先生に、ねーちゃんを先に見るように頼んだ。


ねーちゃんの顔は真っ青で、血の気がなかった。


「元々、朝礼で倒れるタイプだからね…亜矢は」


七海さんはため息をつくと、「あんたも、無茶し過ぎ。相変わらずシスコンだね」と笑った。


俺はひじの怪我の手当もあったからそのまま保健室に残り、七海さんは担任に報告するからと職員室に向かった。


ねーちゃんは割と体が弱い。貧血気味でこんな事はよくあった。


でも今は、それすらもアイツのせいに思えて俺は拳を握りしめる。


「早く忘れろよ…ねーちゃん…」


心配で仕方ないんだ。たったひとりの姉だから。

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