人はそれを恋と呼ぶ


俺は思わず足を止めた。


植田が俺にメールを送る事すらめったになかったから。


「なんで?」と問われれば、「ねーちゃんと帰りたいから」なんだけど…。


返信しようとして手が止まる。


…もしかしてこういう事を普通に言う所が、シスコンだと思われる原因なんだろうか。


いや、別に植田になんて思われたっていくねぇ?


何となく躊躇してるうちに、チャイムが鳴ってしまった。


お昼休みに入り、教室からは人の波。


「あ?…植田?」


いつの間にか植田が目の前に立っていて、じっと俺を見つめてものすごく険しい顔で聞いた。


「…どうしたの?」

「え?何が」

「それ。その怪我…」


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