人はそれを恋と呼ぶ
「ちょっと…!木下どこ行くの!?」
植田の声に我にかえる。
いつの間にかたどり着いたのは裏庭で、俺は周りを見渡して人がいない事を確認した。
繋がれたままの手を、弾かれたように離す。
「…あ、悪い!」
どさくさに紛れて繋いでしまった手。
植田を見ると、走ったせいか思いっきり息が上がってる様子だ。
「本当?ねぇ、本当にお姉さんなの…?」
意外だった。
思わず繋いだ手の事より、まだそれが気になるのかよ?
「ホントだって。いっこ上にねーちゃんいるって話した事あんだけど」