人はそれを恋と呼ぶ
植田の目は、驚いて俺を見つめていた。
「だって、心配だったから…。ごめん、迷惑だった?」
違う。そうじゃない。
「…俺は、植田の本当の彼氏じゃないじゃん。お前好きな奴他にいるんだろ?
全然意味わかんねーよ。俺に優しくしたってしょうがないんじゃねぇの?」
一気に喋ると、咳こんでしまった。
「木下!?ごめん、そんなつもりじゃなくて…」
植田が焦って、掴んでいない方の手で背中なんかさするから、
俺はますます頭がくらくらするんだ。
ただ、お見舞いに来てくれただけなのに…訳がわからない感情が込み上げる。
こんな風におかしくなるのは、
きっと熱のせいだ。
「…え?木下?」
気付けば俺の腕は、植田を引っ張って、
彼女を抱きしめてしまっていた。