人はそれを恋と呼ぶ


植田は学校に来なかった。

俺はずっと植田の事を考えていた。


信じられない気持ちでいっぱいだったけど、植田が俺を好きなんだって思うと、素直に嬉しくて。


ちゃんと伝えたい。


俺の本当の気持ち。


放課後になって、すぐに学校を出ようとした俺は、焦りすぎて定期入れを忘れてしまった。


植田の家は遠いから、電車で行かなくちゃいけない。仕方なく教室に戻った俺が扉を開けると、そこには先客がいた。


机に座って、綺麗な夕日が差し込む教室で窓の外を見ている男。


「…ケンタ?何やってんの?一人か?」


声をかけると驚いたように振り返る。


「…おぅ。優太こそ、忘れ物でもしたのか?」



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