人はそれを恋と呼ぶ
ここは確か…。
俺は記憶をたどって少し歩いてみる。少し先の道を曲がって気付いた事。
「…雅也んちじゃねぇか」
中学時代に何度も訪れた場所。今は別々の高校に行ってしまった友人、佐藤 雅也の家があった。
雅也は中2の時に親が家を建てて引っ越したが、学区外になってしまっても自転車でそのまま転校せずに通ったんだ。
中3になって「受験勉強会」と称して毎日日替わりで家に集まった時、「毎週金曜日は佐藤家」だった。
「気付かなかったな。雅也んちのそばだったのか…」
それにしても。植田の家がわからない事には話にならない。
誰かに聞くか…?
「おい、お前」
急に俺に話しかける声が聞こえて振り返る。