人はそれを恋と呼ぶ
「そうか?だって制服着てねーし…」
「着替えたからだ!それに見ろ!」
二人して同時に背中を見せ、どうだと言わんばかりの顔。
紺色のジャージの背中には白い字で『KITA』と書かれていた。
「おぉ。嘘じゃねぇみたいだな?北中の指定ジャージか。それにしても…お前らチビだな…」
「チビ言うな!」
「これから伸びんだ!」
同じ顔で同じ声で怒る二人。なんかめっちゃ面白いんですけど。
笑いを噛み殺しながら、ついでにこいつらに聞こうと思った。
「なぁ、この辺に植田っていう家ねぇ?探してるんだけど」
双子のチビは、顔を見合わせる。
「植田んちに何の用だよ?」
「ってか誰に用があんだよ?」
植田んちを確実に知ってるらしい双子はそう言いながら俺を睨んだ。