人はそれを恋と呼ぶ
貴兄ちゃんと思われる男を植田の部屋の2つ隣りの部屋に押し込む陸。
拓に促され、俺もその部屋に連れ込まれた。
「すげー…本物の『ゆーちゃん』じゃねぇか…」
俺を見てそう呟く、『貴兄ちゃん』。
…だから、さっきから本物ってなんなんだよ。
「植田の…お兄さんっすか?」
双子がすぐにツッコミを入れてきた。
「お前、俺達との喋り方と全然違うじゃねぇか!なんで敬語!?」
「は?馬鹿、普通年上には敬語だろ。お前らこそ俺も年上で初対面なのに『お前』呼ばわりじゃねぇか」
「固い事言うな!貴兄がごっついからってビビってんだろ!?こう見えても頭は空っぽだかんな!」
「拓!頭は空っぽってのは余計だろーが!」
貴兄ちゃんは軽く拓の後頭部を叩きながら言った。