人はそれを恋と呼ぶ
ドアには、貴兄と双子。
由紀はドアの前の貴兄を睨みつけると、ため息をついた。
「…貴兄ちゃん…。後で覚えときなよ…」
双子が貴兄を無理矢理引っ張って行った。
「おい、見たか?由紀が怒鳴らないぜ?ゆーちゃんの前だと!」
「それはそれで怖くね?貴兄、固まってるし!」
ぽかんとドアを見つめていると、由紀が小さく呟いた。
「もう…だからこの家に木下を呼べなかったのよ!うちの兄弟達、最悪なんだから。シスコンの兄貴なんてうるさくて…」
由紀とねーちゃんは、話が合うかも知れないと思った。
「耳、痛ぇし。俺もねーちゃんにとってウザイんかな」
「…うん、程々に、ね」
由紀が幸せそうに笑うから、俺は彼女にそっと口づけた。