パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~
「そ?分かったわ。これ以上話しても無駄ね。…奈桜、覚悟だけはしときなさいよ。私が黙っててもマスコミは侮れない。奈桜がシングルの子持ちアイドルだってすぐバレる。桜もマスコミの標的よ。そして…Zも終わる」
奈桜は静かにフッと笑った。
「心配してくれてありがとう」
「…やってらんない」
七海は長い黒髪をなびかせながらクルッと後ろを向いて歩き出す。
コツコツと勇ましい靴音も、颯爽と歩く後ろ姿も変わってない。
ただ、どこか刺々しいのは何かを抱えているのだろうと奈桜は思った。
グラウンドを出て行くその後ろ姿をやりきれない思いで見送る。
以前の七海の天真爛漫さはどこにも見当たらない。
だけど何を言われても憎む気にはならなかった。
それは…やはり、桜の母親だからだろう。
個人的にはもう何の感情もなかった。
1人残ったグラウンドで、しばらく奈桜は夜空を見ていた。
Zの事が頭をよぎる。
月が…滲んで見えたのは、泣いているからではない。
『疲れ目』だと自分に言い聞かせた。
奈桜は静かにフッと笑った。
「心配してくれてありがとう」
「…やってらんない」
七海は長い黒髪をなびかせながらクルッと後ろを向いて歩き出す。
コツコツと勇ましい靴音も、颯爽と歩く後ろ姿も変わってない。
ただ、どこか刺々しいのは何かを抱えているのだろうと奈桜は思った。
グラウンドを出て行くその後ろ姿をやりきれない思いで見送る。
以前の七海の天真爛漫さはどこにも見当たらない。
だけど何を言われても憎む気にはならなかった。
それは…やはり、桜の母親だからだろう。
個人的にはもう何の感情もなかった。
1人残ったグラウンドで、しばらく奈桜は夜空を見ていた。
Zの事が頭をよぎる。
月が…滲んで見えたのは、泣いているからではない。
『疲れ目』だと自分に言い聞かせた。