パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~
石田が道路脇に車をゆっくり止める。
「すみません。言い過ぎました。私、自分の仕事をこなしているだけなのに。なんか…本当にすみませんでした。生意気でした。すごく失礼でした。申し訳ありません」
石田はさっきの勢いはどこかへ行き、急にしょんぼりとしている。
見かけによらず、意外とカッとしやすい方なのかもしれない。
「いや、気にしてないよ。ほんとの事だし。…でも、オレは決してそんなつもりで言ったんじゃないんだ。オレはただ…」
車がゆっくりと動き出した。
「最近…、事務所がピリピリしてるんですよ」
奈桜の話に気付いてなかったのか、石田が話し出す。
「えっ?」
「それが、Zのメンバーのスキャンダルらしいんです。あ…いえ、まだZだと決まってはいないんです。事務所の慌て方から見て、大物に違いないって。マネージャー仲間でもっぱらの噂なんです。…でも、まだ私たちにも何の連絡もなくて。もしそうなら近々、呼び出されるはず。奈桜さんが違うのは分かってますが、やっぱりZの事となると無関係ではいられないですから。マスコミの事を考えると昨日から胃が痛くて。それでつい、さっき…、あんな事を。八つ当たりしてました」
前を気にしつつ少し頭を下げる姿も、奈桜には見えていない。
石田の言葉が何度も頭の中で繰り返される。
そして『どうしよう』という思いが全てを支配して行く。
「すみません。言い過ぎました。私、自分の仕事をこなしているだけなのに。なんか…本当にすみませんでした。生意気でした。すごく失礼でした。申し訳ありません」
石田はさっきの勢いはどこかへ行き、急にしょんぼりとしている。
見かけによらず、意外とカッとしやすい方なのかもしれない。
「いや、気にしてないよ。ほんとの事だし。…でも、オレは決してそんなつもりで言ったんじゃないんだ。オレはただ…」
車がゆっくりと動き出した。
「最近…、事務所がピリピリしてるんですよ」
奈桜の話に気付いてなかったのか、石田が話し出す。
「えっ?」
「それが、Zのメンバーのスキャンダルらしいんです。あ…いえ、まだZだと決まってはいないんです。事務所の慌て方から見て、大物に違いないって。マネージャー仲間でもっぱらの噂なんです。…でも、まだ私たちにも何の連絡もなくて。もしそうなら近々、呼び出されるはず。奈桜さんが違うのは分かってますが、やっぱりZの事となると無関係ではいられないですから。マスコミの事を考えると昨日から胃が痛くて。それでつい、さっき…、あんな事を。八つ当たりしてました」
前を気にしつつ少し頭を下げる姿も、奈桜には見えていない。
石田の言葉が何度も頭の中で繰り返される。
そして『どうしよう』という思いが全てを支配して行く。