愛のため息

不安

『タカちゃん、ミイねコーヒーが飲みたいからホワイトデーは喫茶店デートがいいな!』




電話越しに聞こえるミイの声は、普段会ってるときとなんら変わらない、はきはきとしていて聞いてるだけでこっちも元気になりそうな声だ。




でも、ミイが言った内容を理解すると共に、その気持ちが、みるみるとしぼんでいくのがわかった。




『タカちゃん、聞こえてる?・・・もしもーし』



「ちゃんと聞こえてるよ」



返事をしなかったから電波が悪くなったと思ったらしい。




「コーヒー飲むだけ?そのあとはどうする?」




『え?あと?喫茶店だけじゃダメ?』




「ダメってワケじゃないけどさ・・・」





初めてのデートなのにコーヒーを飲みに行くだけって・・・。





「デートの途中で休憩がてらコーヒーを飲むことだってできるし、映画とか遊園地とか買い物とか、したいことはない?」




『・・・遊園地って、タカちゃん、ミイを子ども扱いしてる』




低いトーンで言うミイにしまったと内心思った。



「そういうつもりで言ったんじゃないよ!」




慌てた弁解すると、まだ納得してなさそうだけど、「それならいいんだけど」と答えてくれた。




ミイは極端に子ども扱いを嫌がる。



それは俺がいけないんだと重々承知していた。



大人になったら



要はミイが子供だからダメだと、ミイの告白を散々断ってきたから、ミイは特に敏感になっているんだろう。



いい加減なきもちで放ってた言葉がいまだにミイを苦しめてる。



思わずケータイを持つ手に力が入っていた。








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