愛のため息
『ずいぶん早いね。タカちゃんは時間通りに来ると思ってた』





「こっちのセリフ。いつからいたの?俺のほうが先だと思ってたのに」





そう尋ねると、ミイはふふ、と笑った。





『前に見たドラマでね、ヒロインが “待ち合わせ時間からデートは始まっていて、好きな相手を待つ時間は幸せでとても楽しい”ってセリフがあったの』




「待つのが楽しいって、なんかあまり共感できないなあ」




正直にいうとミイはまたふふ、と笑みを見せる。





『うん。ミイもドラマ観てた時はね、タカちゃんと同じ気持ちだったの。
ーーでもね、』




ーー相手が来るまで、どんな服を着てるのか想像したり、自分を見つけたときどんな顔を見せてくれるのか。

考えただけでワクワクして、デートなんだって待ってる間にじわじわ実感して、ドキドキもしちゃった!

待ってるのが楽しいってあながち嘘じゃないよーー





本当に嬉しそうに、



とても幸せそうに、笑って言うから。





どれだけ愛されてるんだろうと身に染みるほど実感させられて、




体が、心が、震えた。







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