赤い目
――――お母さんに会いたい。

そんなこと幾度と願ったことだろう。

でも、その願いは誰もかなえることが出来なく、神からも見放された願いみたいだった。

そんな本音をお父さんに思わずこぼすと、「もうお母さんの事は忘れよう。ずっとそんなこと言っていたら、珠奈は前には進めない。」お父さんが出すのは、いつもそんな答えだった。

でも15年経ったいまでもその気持ちを忘れたことなどなかった。

――――お父さんもお母さんを愛していたはずなのに。もう忘れられたのか。

そんなお母さんが可哀相だった。

それより今日はお母さんの命日だ。

お父さんはお墓参りに行かないと言ったが、私は行こう。



珠奈15歳の日記~5月13日~


次の章へ.............

< 2 / 7 >

この作品をシェア

pagetop