宣誓!わたくし細井真琴は7月7日までに20kg減量し憧れの朝倉先輩をGETすることをここに誓います!
腰に手を当てた女性講師が、仁王立ちしていた。


「あなたまだ白帯よね?」


「はい、すみません」


「始めてどのくらい?」


「まだ一ヶ月にも…すみません」


ただ項垂れるしなかったが、詰問はやまない。


「一ヶ月でそのかかと落とし?」


「すみません」


床に沈み込むほど落ち込むが、隣にいた実につつかれ、


「違うよ細井さん、褒められてるんだよ」


「え?」


顔を上げて実を見ると、目尻を下げて笑っていた。前を見ると、講師も同じ顔だ。


「なんだ、小林君の紹介なの?それなら合点がいくけど、あなたホントに一ヶ月?すごい体も柔らかいし、私、初めっからあなたに注目してたのよ」


「そんな、わたしなんか」


「謙遜しなくていいわ、あなた素質ある。技術もいいけど、教える力もあるわ。どんどん昇級して、師範代になりなさい」


「師範代…」


勝手に膨らんでいく[将来]に、置いてけぼりだ。それに、わたしにはやりたいことが…。


「あなた、なにか他に夢でもあるの?」


「夢はあります‼」


わたしはきっぱり言い切った。
< 427 / 469 >

この作品をシェア

pagetop