淡く切ない恋物語
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「じゃあ、それだけだから」
特になにもコメントをくれなかったから、フラれたのか、言いたいことを迷っているのかと思うと、やっぱり前者だと思った。
だから私は出入口のドアに向かって歩き出した。
泣かないって決めたんだ。
我ながらにして良い出来だった。
泣かなかった。
「俺にはなにも言わせてくれないの?」
さっきの冷たすぎる声とは裏腹に、すごく寂しそうな声だった。
私は思わず立ち止まった。
「俺、ずっと言いたいこと我慢してたんだけど?」
私は黙っていた。
というか、言葉が出なかった。
「俺ずっと避けられてたの分かってたし、でもなんで避けられてんのかわかんねぇし。
話しかけても答えてくんねぇし。
でも今、好きとか言われるし。
どうしたらいいんだよ。
もうゴチャゴチャ。」