透明な願い
でも、亜樹も大切なの。
だから、あたしは櫂智への想いを消さなきゃいけないの。
「…浅岡はさ、自分より他の人の幸せを願うタイプだよな」
「そう…かな」
「うん」
圭吾はあたしを抱き締めながら、優しく頭を撫でた。
「だって、自分がくるしくったって…友達の事を考えてる」
「…そうかもね」
“確かに”なんて笑いながら、あたしは圭吾から離れた。
そんなあたしを見て、圭吾があたしの腕掴み引き留めた。
「浅岡」
「圭吾、本当はわかってるんでしょ?あたしが無理してること」
その言葉に、圭吾があたしに向けて
切なく笑った。