透明な願い
そんな時だった。
君が図書室によく通ってるって知ったのは…。
「梨音、もう帰るの?」
「ううん、ちょっと寄り道して帰る」
「…あぁ、図書室?」
“また?”見たいな言い回しの言葉に、君は小さく頬を膨らませた。
「いいじゃない、本好きなの」
「むくれるんじゃないの」
クスッ…。
そのやり取りを見て思わず笑ってしまった。
やばい、今の顔は反則。
俺みたいな単純な奴は、すぐに目を奪われるぞ。
ー…可愛すぎ。
「…てか、そっか」
“図書室”
彼女が良く行くという場所。
「裕貴。…今日って部活あったけ?」
「え?確か今日はねーよ」
「そっか」
「…なに?いつもは“体が鈍る”とか言いながら部活なくても練習してるのに」
「…いや」
これは、チャンスだと思った。
みつけた、話すきっかけ。