透明な願い


俺は急いで鞄を手に取り、小走りで図書室に向かった。



ガラッ…。


扉を開けて、あまり入る事のない図書室へと足を進める。



「…うわっ」



部活バカの俺とは無縁の空間が広がっていた。


小説は愚か、マンガでさえあんまり読まない俺にとっては退屈な場所だった。



…普段の俺だったら、絶対来ないな。



けどー…。




本を探す振りをして、彼女を探す。



「見当たんない」



あれ?



行くって行ってたよな?




そんな事を思いながらも、見つからない彼女に少しガッカリする。




“はぁ”なんて、俺が肩を落としたときだった。




「探している本、見つからないんですか?」



そういって声をかけてくれたのは、俺の探していた彼女だった。





< 29 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop