透明な願い



絶対嘘だと思ったな。



亜樹のニヤけた顔を横目で見ながら、あたしは“ハァ”とため息をつく。



「それもちょっとはあるけど…違う」



あたしの言葉に亜樹は“あぁ、アイツか”と小さく呟いた。



「なに?アイツを待ってたの?」


「違う!その反対」



あたしは亜樹の質問に、首を横にブンブン振って答えた。



「アイツの梨音好きもこまったもんだ」



呆れたように小さく笑う亜樹を見て、あたしは頬を膨らませた。



「もう、笑い事じゃないよぉ」



< 3 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop