透明な願い
その日から、俺は彼女と仲良くなった。
本の話をしたり、その日の出来事を話したり。
毎日が、俺にとっていつにも増して輝いていた。
けど、俺の部活が大会に近くなるにつれ、図書室に行けなくなった。
でも、会える時間は減っても…
俺は瞳はいつだって彼女を映した。
そして、あの日ー…
ドンッ。
忘れ物を取りに教室に向かう俺の肩に、誰かの肩が鈍い音を立ててぶつかった。
「いてっ…」
「ごめん…なさ」
か細い声でそう言うと、肩がぶつかった相手が俺の横をすり抜けて駆けて行った。
「今…の…」
一瞬だけでも見えた顔が、頭に焼き付いて離れなかった。
「浅岡?」
俺の横をすり抜けた彼女は、苦しそうな顔をして
泣いていたんだー…。