透明な願い

浅岡は何を無理してる？



「しんぱ…いしてくれて嬉し…けど、今は一人に…なりたいよ」



泣きながらだからか、少し苦しそうに彼女は言葉を紡ぐ。



「……」



本当は…何に苦しんでるかも、どうしてそんなに強がるのかも、全部聞きたかった。



俺なんかで少しでも何かが変わるなら、“守る”なんて大それた事じゃなくていいんだ。



「…わかった」



スッ…と、名残惜しそうに彼女の腕を解放した。



彼女は小さく“ありがとう”と言って、俺を残してこの場を去った。



まだ彼女の腕の感触が、微かに残っていた。



忘れないようにと、俺はギュッとその手を握り締めた。



「…俺まで、苦しくなるよ」




…大それた事じゃなくていいから、せめてー…




君の“支え”でありたい。