透明な願い
大切なモノ
あたしは小さい頃から、本が大好きだった。
「梨音ちゃんは、本当に本が好きね」
「うん」
皆が元気に外で遊ぶ中、あたしは家内で静かに本を読んでるのが好きだった。
皆が驚くほど、本ばかりを読んでいた。
…好きだったのだ。
静かな空間。
非現実的なストーリー。
入り込んでしまうくらい、リアルな登場人物。
そして、何にも考えないでいられる事が。
冷え切ったお父さんとお母さんのことを、考えないでいられる事が。
最初のきっかけだってそう。
言い争いをする、2人の姿を見たくなくて…
声を聞きたくなくて…
あたしは逃げるように、ただ無心に本を読みだしたのだ。