Garden2
for her
ありがとう、と。
伝えればよかったのか?
ごめん、と言えばよかったか?
そうすればもっと、違う答えになったのか?
問いかけても何も答えは返らない。
タバコに火をつける、指が微かに震える。
平静を装うためじゃない。
平静を求めて、俺は深くそれを吸い込んだ。
身体中をニコチンが染み渡れば、少しは落ち着ける気がする。
引き止めるなんて、俺にはできない。
そんな資格はないんだろ?
お前を傷つけるのはいつだって俺の言葉だった。
お前が諦めていくのを、俺は知ってたよ。
でも、何もできなかった。
否、しようとしなかった。
これが俺。
俺は俺自身を、お前に受け止めてほしかった。
それは俺の甘えだと、俺は知っていた。
それでも、俺には変えることはできなかった。
俺の傍でお前は幸せじゃなかったか?
俺は…
俺はそれでも、お前にいてほしかった。
お前には俺しかいない、なんて馬鹿げたことは言わない。
俺よりお前を幸せにできるヤツがきっといる。
でも俺には、お前だけだったよ。
最初からずっと。
お前だけだったんだ。