晴い天-アオいソラ-
「椿、次オマエ出番だろ?代わるわー」



「すまない」



真琴の変わりに奈々花の隣へ座った耕平が、奈々花の異変に気づく。



「何やってんの?オマエ」


「こっち見ないで下さい…愛咲ちゃんが借り物競争で眼鏡持って行ってしまったんです」



いつも見ているレンズ越からの風景と違って見えて、何だか恥ずかしかった。



「…見えんの?」



伊達だと言っていた歩の言葉を思い出した耕平が奈々花を見つめる。



「ほとんど度は入っていないので平気です」



歩のどーでもいい情報は本当だった。



「じゃあ何で掛けてんの?鬱陶しいだけだろ?」


「…会長には解りません」



自分に自信のない奈々花にとって、眼鏡は武装だった。











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