晴い天-アオいソラ-
「な?普通って何?って感じだろ?」



次々疲労される皆の家庭の事情に、奈々花が涙目で少し笑った。



「私が甘えてただけなんですね」


「別に甘えるのは悪い事じゃない」


「せや。冴子さんもきっとななチャンが甘えてくれるの待っとるで」



圭吾が口下手な雄介の後に言葉を足す。



「お前は我慢しすぎなんだよ。全部自分の中に溜め込むから素直に甘えていい場所にまで壁を作っちまうんだよ」



耕平が珍しく真剣な顔つきで話す。



「全然頼りないかもしれないけど、わたし達にだって甘えていいんだよ。仲間なんだからさ」



真琴の言葉にみんなが頷く。



みんなの優しさを感じた奈々花の目から、母が亡くなった時からずっと我慢していた涙が今になって溢れた。



「…ぁり…がと…」



奈々花の小さなありがとうはしっかりとみんなの耳に届いた。



それから奈々花は実の母が中学生の時他界した事、父が奈々花のために再婚を決意した事など家族の話をした。




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