晴い天-アオいソラ-
圭吾の口から『晃』という名前が出た瞬間、いつもの耕平からは想像もつかないような形相と力の入った声が圭吾に向けられた。



だが圭吾に怯む様子はない。

むしろこっちの方が見慣れていた。



「なんや、まだそんな顔出来るやんけ」


「るせぇ、お前もぅ戻れ」



耕平は観念したかのようにため息をつくと、圭吾を追い払おうとした。



「オマエもすぐ来いよ。そんな腑抜けたオマエでも心配してくれる奴らがおるんやからな」



そう言うと圭吾は先に広間へ戻った。



「…お節介が」



耕平が圭吾の背中に小さく呟いた。
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