あなたへ。
誰がどう考えたって、親は出来の良い方を可愛がるに決まってる。

瞬介は頭がいいから、もちろん進路は大学進学希望だ。
パパは口にはあまり出さないけどそう考えているみたいだし、ママは「行きたかったから私立でも、東京の大学でもどこでも行きなさい。瞬介の為なら、お母さん、今やってるパートの他に掛け持ちで働くから」と言っているほどだ。
あたしが高校生の時は、そんな事言わなかったのに―…。

瞬介の事は、あたしだって無論好きだし自慢の弟だと思っている。
でも…。

なんなんだろう、この差は。

そんな事を考えてると、地下鉄が次の駅を知らせるアナウンスが流れ、職場の最寄り駅に到着した。
車内から吐き出された大勢の人間に半ば飲み込まれる感じで、あたしは地下鉄から降りる。
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