あなたへ。
あたしは例の掲示板サイトの、フェニックスのトピックを見てしまったのだ。
以前、何の気なしに明にサイトの事を聞いたら、「あんなもん見なくていいよ。大抵、書いてる奴の憶測や妄想ばっかだから。俺もフェニックスの他のメンバーも見ていない。そんなくだらねぇもんに時間を割く程、俺達も暇じゃねぇしな」と言われた。
なので、これ以上あのサイトについて言及出来なかったのだ。
しかし、どうしても気になって仕方なかった。
もしかして雛妃みたいに、あたしの事も掲示板に書かれているんじゃないか−…。
ファンが皆、純粋にそのバンドの音楽が好きな訳ではない。いや、もちろんそういう人達が大多数を占めているのだが。
中には、メンバーと個人的に連絡を取りたい、あわよくば交際したいと言う不純な動機の輩もいるのだ。…それは今となってはあたしも一緒か、と自嘲した。
ましてはファンのほとんどが年頃の若い女性、とくれば一番の関心事は男女の色恋沙汰に決まっている。
それはフェニックスのファンだって、例外ではない。
そう言えば、明は「あれを見て、見て良かった!って思った事ってある?」とか「あんなの公衆便所の壁に書かれている落書きと一緒だよ」とも言っていた。
いやはや、見て良かったと思うどころか、この上なく後悔したし、内容も公衆便所の落書き以下であった。
【明のヤツ、いつの間に新しい彼女出来てたよ】
【あの茶髪のボブカットの子だよね?ライブで見た事ある】
【またファン!?節操がないってまさにこの事だね】
【あの二人、この間N駅近くのラーメン屋にいたよ】
【やっぱり付き合ってるんだ。ショック。】
【あの子、この前のMARSの時出待ちして明に手紙渡してたよね】
【私もそれ見た!なんか必死過ぎて怖かった】
【って言うか、あの子そんなに可愛い?明と釣り合わないよね】
【不細工じゃん(笑)性格暗くて悪いのが顔ににじみ出てる(笑)】
【明、趣旨変えしたんじゃない?ブス好きだったんだね】
などと言った書き込みがされていたわけである。
これらを書いたのが、本当にフェニックスのファンならば、実に暇な連中である。
第一、あたしと明は付き合ってはいないし、そんなに気になるのならば、そのラーメン屋で見かけた時にでも、あたしか明に直接聞けばいいじゃないか。
そんな度胸もないくせに、こんなインターネットの中では水を得た魚の様に誹謗中傷する。
なんて卑怯で愚かなんだろう。
…可哀想。そんなんだから、明に選ばれないんだ。
あたしの事は、なんて言われても構わない。
そうやってずっとパソコンや携帯の向こうで吠えていろ。
…ああ、ダメだ。
そう気丈に思っていても、そう振る舞おうとしても、どうしても思い出してしまう。
最近は思い出す事なんて、ほとんどなかったのに。
またあの日々の記憶が戻ってくる。
以前、何の気なしに明にサイトの事を聞いたら、「あんなもん見なくていいよ。大抵、書いてる奴の憶測や妄想ばっかだから。俺もフェニックスの他のメンバーも見ていない。そんなくだらねぇもんに時間を割く程、俺達も暇じゃねぇしな」と言われた。
なので、これ以上あのサイトについて言及出来なかったのだ。
しかし、どうしても気になって仕方なかった。
もしかして雛妃みたいに、あたしの事も掲示板に書かれているんじゃないか−…。
ファンが皆、純粋にそのバンドの音楽が好きな訳ではない。いや、もちろんそういう人達が大多数を占めているのだが。
中には、メンバーと個人的に連絡を取りたい、あわよくば交際したいと言う不純な動機の輩もいるのだ。…それは今となってはあたしも一緒か、と自嘲した。
ましてはファンのほとんどが年頃の若い女性、とくれば一番の関心事は男女の色恋沙汰に決まっている。
それはフェニックスのファンだって、例外ではない。
そう言えば、明は「あれを見て、見て良かった!って思った事ってある?」とか「あんなの公衆便所の壁に書かれている落書きと一緒だよ」とも言っていた。
いやはや、見て良かったと思うどころか、この上なく後悔したし、内容も公衆便所の落書き以下であった。
【明のヤツ、いつの間に新しい彼女出来てたよ】
【あの茶髪のボブカットの子だよね?ライブで見た事ある】
【またファン!?節操がないってまさにこの事だね】
【あの二人、この間N駅近くのラーメン屋にいたよ】
【やっぱり付き合ってるんだ。ショック。】
【あの子、この前のMARSの時出待ちして明に手紙渡してたよね】
【私もそれ見た!なんか必死過ぎて怖かった】
【って言うか、あの子そんなに可愛い?明と釣り合わないよね】
【不細工じゃん(笑)性格暗くて悪いのが顔ににじみ出てる(笑)】
【明、趣旨変えしたんじゃない?ブス好きだったんだね】
などと言った書き込みがされていたわけである。
これらを書いたのが、本当にフェニックスのファンならば、実に暇な連中である。
第一、あたしと明は付き合ってはいないし、そんなに気になるのならば、そのラーメン屋で見かけた時にでも、あたしか明に直接聞けばいいじゃないか。
そんな度胸もないくせに、こんなインターネットの中では水を得た魚の様に誹謗中傷する。
なんて卑怯で愚かなんだろう。
…可哀想。そんなんだから、明に選ばれないんだ。
あたしの事は、なんて言われても構わない。
そうやってずっとパソコンや携帯の向こうで吠えていろ。
…ああ、ダメだ。
そう気丈に思っていても、そう振る舞おうとしても、どうしても思い出してしまう。
最近は思い出す事なんて、ほとんどなかったのに。
またあの日々の記憶が戻ってくる。