あなたへ。
パパもママも「杏子にも瞬介にも、平等に愛情を注いできた」と言う。
あたしだって両親に愛されているともちろん思うし、ここまで育ててくれて感謝してる。
でも、二人の潜在意識の中で本当に愛されているのは、瞬介の方なのだとあたしは確信している。

本当に、あたし達は面白いぐらいに正反対なのだ。

幼少の頃から明るく活発だった瞬介。
回りにはいつだってたくさんの友達に囲まれて、リーダー的存在で、成績も学校で常に上位に食い込んでいて、所属しているサッカー部でも次の部長候補と言われていて、顔だって物凄くかっこいいって訳じゃないけれど整っていて―…。

それに引き換えあたしは、人見知りが激しく引っ込み思案で、勉強もスポーツも苦手で、友達も少なくて、集団生活にはなかなか馴染めなくて、気付けば周りから一歩も二歩も遅れている鈍臭くて要領が悪くて、手先も人間関係も生き方も不器用な姉。

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