ずっと前から好きだった


「華奈子、一軒家なんだ…」


「そうだよ?
 かっちゃんは?」


「俺一人暮らしだから。」


「そうなの!?」


「俺の地元、新潟。
 音楽やりたくて東京来た」


「へぇー……凄い…」



かっちゃんは

じゃあな

と言って手をヒラヒラさせて
私に背を向けた。




そんな背中も

やっぱり飯島と重なる







2月中旬


まだまだ寒くて
突き刺さるような冷たい風



人肌恋しいとよく言う冬



ふと



飯島に抱きしめられた感触が
胸をぎゅっと掴むように


苦しめた。




彼は言っていた。





泣いてるお前をみると
守りたくなる



って。




あなたの温もり


まだカップルだとか
そんな関係になることは
なくっても


誰よりも

他の誰よりも



私があなたの温もりを
知っている




だけど。




だけど彼を昔から知っている人は
沢山いすぎて

彼の温もりも全て
知っている人は一人だけいて



私じゃなくて




そう




彼の中学での出来事。




その子には
勝てる事が無かった。




私なんかより前に

飯島真を知った


そんな彼女は


私達が高校2年の秋に

やってくる。



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