ずっと前から好きだった


「ばいばい」



バンド名も決まって
デビューに向けて、一歩
また一歩と近づいていく



私達は挨拶をかわして
お互い家へと向かった。



「もう暗いし
 送っていくよ」


駅まで方向の一緒だった
かっちゃんは、
そんな優しい言葉をくれた。


「ほんと…いつもいつも
 暗い時にありがとう…」


私がそう言うと
彼は微笑んでくれる。



「そういえばさ」




優しくて落ち着いた声で
彼は話しはじめた。


「失恋したって…
 前に言ってたっつうか
 そんなこと俺が言って
 お前、泣いたよな」


「あぁ…そういえばね」


「…………大丈夫なの?」


「大丈夫って?」


「泣くほど
 本気の恋だったんだろ?」



駅に着いて
ホームの自販機で
ミルクティーを買って
かっちゃんは私に
それをくれた。



「失恋ってゆうか…。
 あたし告白も何もしてないの。
 だけど………
 存在が遠くなっちゃった感じ」


「そっか…」



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