ずっと前から好きだった
「好きな人には
好きな人がいるから」
このホームで
飯島に抱きしめられた。
あの温もりが
忘れられなくて
ここに来るたび
思い出してしまう。
「華奈子」
「ん?」
「まだ、好き?」
「……………」
真っ直ぐかっちゃんに見つめられ
なんだか離せなくなるほどの
強い眼差し
「わからない」
またあの頃みたいに
私は
自分の気持ちに嘘をついた。
嘘をつく必要なんて
これっぽっちもないのに
素直になれなくて
嘘をついて
飯島との過去を
無かった事にしようとしている
余計に胸を
締め付けるだけだった。
「きっと、もう…
好きじゃない」