ずっと前から好きだった


「知ってた?」



かっちゃんの優しい声が
すぐ隣から聞こえる。



「俺が華奈子の事好きなの」



「…………え……」



「バンド仲間だからとかじゃなくて

 女として華奈子が好き」









電車が来て


電車に乗って



私達はゆらゆらと揺られながら
私の地元に到着した。





家より少し離れた所で
やっとかっちゃんは
話しはじめてくれた。





「俺は自分の気持ちに
 素直になるよ。
 たとえ、好きな人に
 好きな人がいても」


「なんで…」


「ん?」


「なんで、かっちゃんは
 あたしが好きなの…?」


「………………あぁ…」


「素直になったら
 辛いだけじゃん。」


「………辛くない恋なんか
 ないんじゃね……?」



私はかっちゃんを見つめた。

かっちゃんは澄んだ表情で
夜空を見上げていた




< 132 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop