ずっと前から好きだった
「初めて会った日から
華奈子に惹かれてた。
いわゆる一目惚れね」
「…………………。」
「華奈子のお友達?
事務所に男の子が来たじゃん。」
「うん…」
それは、
飯島の事だった。
「俺めっちゃ嫉妬しまくった。
つか、むなしくなった」
「むなしい?」
「一目惚れっつっても
華奈子にだって
華奈子の人生があって
彼氏とか好きな奴とか
男友達がいる可能性はある。
俺なんて時々会う
ただのバンド仲間なんだって」
電灯の明かりが
私達の歩く道を照らした
住宅街を歩いていると
テレビの音や
家族のにぎやかな会話が
時々聞こえてくる。
「華奈子の笑顔は
俺だけのものじゃないんだなって」