ずっと前から好きだった


だけどやっぱり
飯島に優しい言葉を
かけてもらいたいなんて
物足りなさを感じるのは


好きだから。






プルルルルル―――――






賑やかな店内に
ひときわ響く私の
着信音が鳴った。





【柳沢克哉】



それは、かっちゃんだった。





「もしもし」



『もしもし、克哉だけど』



「かっちゃんどうしたの?」



『あぁ、いや。
 声聞きたくなって』



「…………………。」



黙りこんだ私に
かっちゃんは鼻で笑った。




『嘘…………でもないけど』


「もぉ…なんなの…」



落ち込んでる自分が
ばかみたいに思えるほど
かっちゃんの冗談に
救われる自分がいる





『なんか元気ないな』



「……そう………?」



『…気のせい…かな』



「かっちゃんは
 そうゆうの敏感だよね」



『華奈子が
 わかりやすいだけっしょ』



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