ずっと前から好きだった



また逃げた。



答えを聞かずに



バスに乗った。






声を押し殺して
発車したバスの中で





私は泣いていた。












手に握られたピック





その上に一粒涙がこぼれた。















「迅さんギター教えて」


「ピック買ったんだ」


「んー、貰ったの」


「ふぅん…よかったな」








事務所に着くと
みんなが揃っていた。





「なんか俺らって
 デビューするんっすね」




かっちゃんがソファーに
もたれ掛かりながら
雑誌を読んでそう呟いた。







「テレビって太って
 見えちゃうよね!?」



魅麗さんがあたふたと
慌てているのがなんだか
とても可愛らしかった。




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