ずっと前から好きだった
私の奏でるギターの音が
部屋に響き渡った。
ギターの弦で削られる
大切なピックを見つめた。
「それ、大事なピック?」
「え?」
迅さんが優しい表情で
聞いてきた。
「ピックは使ってれば
削られちゃうから」
「……………うん。
大切な物。」
「それなら、
ちゃんと保管しときな」
そう言って迅さんが見せたのは
首にかかっている
ネックレスになったピックだった。
「迅さんの大切なピックなの?」
「まあ…あいつに貰ったやつだから」
迅さんの視線の先には
魅麗さんがいた。
「一緒にデビューってゆう
夢を叶えようって誓った時
あいつから貰った。」
「迅さんにとって魅麗さんは
特別なんだね」
私のその言葉に
少し顔を赤くした迅さんは
私が初めてみる彼の表情だった。