ずっと前から好きだった
「まだまだ僕達も若いですが
よろしくお願いします」
迅さんの低くて
男らしい声が
マイクで響いていた。
4月
私達はデビューを果たした。
学校を転校して数ヶ月
少しだけ新しい学校にも
慣れてきて
だけど
隣は君じゃなくて
いまだに
忘れられない。
「華奈子」
「かっちゃん」
事務所の一室で
私はかっちゃんと
二人きりになった。
「やっぱ…最近
元気ないっしょ」
「……そう見える?」
「いつも笑顔だけど
時々何か考えてる顔する」
「あはは………当たってる」
「学校、慣れない?」
「ううん、楽しいよ」
「恋か…」
「ふっ………正解」