ずっと前から好きだった
女子高生が
きゃっきゃと電車を降りて
静かになった車内
「あ、次の駅だから」
「ど田舎じゃん」
その駅に着くと
辺りの風景は見事に
山だとか畑だとか
マンションなどなく
古ぼけた一軒家がぽつりとあったり
まさに田舎だった。
「ここ、なんなの?」
「俺が見つけた最高の町」
「ふぅん…」
時間はいつのまにか
夕方になっていた。
青空は茜色に染まり
鳥の声と風の音
それから私達の歩く音だけが
この町に鳴り響いていた。
「一人になりたい時
よくここに来るんだよね」
かっちゃんにつられて来たのは
田舎町を見渡せる
丘の上のような場所だった。
「なぁ、華奈子」
「ん?」
近くにあったベンチに
私達は少し距離を空けて座った