ずっと前から好きだった


ちょうど私の並んだ隣に
飯島がいた。


「綱に体重かけろ」

「分かってるよ」



「よーい」

審判の掛け声で
みんなが綱に手をやった。



ふと触れた飯島の手


「っっ―――――ごめんっ」

「…あ………おぉ……」



隣が近くて
教室よりも近くて

ドキドキが止まらない

顔が暑い

肩が触れ合いそうなぐらい
近すぎる距離



「ピーーー」



笛の音が
校庭に響いた


「手ぇ痛いー」

「我慢しろ」

「無理無理!」


悲鳴のような叫びの中
私達の団は決勝へ進んだ。


「岩崎、手…
 大丈夫かよ」

「頑張りすぎた」



飯島は赤くなった
私の手をとった


「………………
 大丈夫だから…
 飯島………」


「あ…わりぃ…」



とっさに手を離した


私を抱きしめたりなんかするくせに

手を握っただけで
目を逸らして顔を赤くする

そんな飯島が可笑しくて

なんだか嬉しくて

思わず笑った


< 75 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop