ずっと前から好きだった
甘い匂いの漂う教室
「はい、これ華奈子の~」
「ありがとう!
これ、あたしから」
「わ~!ありがとっ」
バレンタインなんていう
甘くて切ないイベント
飯島にあげる気は
ない
「あげないの?華奈子」
「あげるわけないじゃん。
好きって言ってんのと
変わんないし。」
めいが不機嫌そうに
私を睨んできた。
「そんな睨まないでよ」
「華奈子は消極的なんだよ」
「………………だって…。」
飯島には
好きな人がいるから。
「あたし諦める」
「えーっ?」
「諦めんの」
また不機嫌そうに
こちらを睨む、めい
「諦めるって言ってる時点で
まだ好きでしょ。
華奈子の好きって
そんな中途半端な好きじゃ
ないと思うし…。」