偽りのプリンセス
.Prince.
───
「……はぁ」
部屋の明かりを消したまま、私は枕に顔をうずめた。
私のために用意された部屋。
ふかふかのベッドでさえ、今の私には安らぎを与えてくれない。
いつの間に日が暮れたんだろう。
カーテンの隙間から、月明かりが差し込んでいた。
「……」
今日は色んなことが有りすぎた。
「ガラスの靴のお姫様は、今頃どこで何してるんだろ……」
本当なら、あの人が王子様と結ばれるはずなのに。
ただガラスの靴に足が入っただけの偽物のお姫様。
私は、偽りのプリンセス。
「やっぱり、本当のこと言わなきゃ」
そう決心した直後、ガチャリと部屋のドアが開いた。