偽りのプリンセス
「ジュリア」
王子様の声が、私の頭に甘く響く。
王女になりたいわけじゃない。
だけど、王子様と結ばれたら、どんなに幸せなことか。
「……あの、王子様。私……本当は」
「君はガラスの靴の持ち主ではない」
暗闇の中で、王子様のサファイアの瞳がきらりと光った。
王子様には、ばれていたんだ。
「……も、申し訳ありません。…すぐに出ていきます」
「なぜ?」
私が頭を深く下げると、王子様は私の顔を持ち上げた。
「……!?」
「たしかに君は一緒に踊った娘じゃない。けれど……」