偽りのプリンセス
「これは運命だと思うんだ」
「……はい?」
張り詰めていた空気が、一気に解けた気がした。
王子様の運命の相手は、あの夜一緒に踊った娘だというのに。
私が不思議そうに王子様を見つめていると、彼は口を開いた。
「ガラスの靴を落とした娘と僕が運命なら、その娘が来たはず。
だけど僕の元にはジュリアがやって来た」
そう笑って、王子様は私を抱き寄せた。
「ジュリア、僕と結婚してほしい」
そんな甘い台詞を添えて。